赤いフードの偽物姫と黒いフードの人外陛下〜敗戦したので売国しに乗り込んだら、何故か溺愛生活始まりました〜
セルヴィス様のお誘いを断って以降、政務室への呼び出しもなく、私はただぼんやりと毎日を過ごしていた。
動かなけばいけないのに、時間だけが過ぎていく。
いつまでも避け続けるわけにはいかないのに。
寝付けず、ふと見上げた空の月はもうすでに欠けていた。
「ああ、満月が終わったのね」
今月は苦しまずに済んだだろうか?
離れていても浮かぶのは、あの優しい笑顔で。
そんな資格もないくせに、なんだか無性に泣きたくなった。
「そうだ、ルクアの実」
ルクアの実の世話をしなくてはと。
自分を奮い立たせた私は自室をこっそり抜け出して温室に足を運んだ。
ドアを開けてた途端ふわりと暖かい空気が流れてきた。
「……?」
真っ暗な部屋にカンテラで明かりを灯す。
温室を見渡すけれど、セルヴィス様も黒狼も見当たらなかった。
代わりに手入れされた形跡のあるルクアの実を見つけた。
ここには私とセルヴィス様しか来ないのだから、きっとセルヴィス様が手入れしてくれていたのだろう。
他にも何か変わりはないかと確認しながら進んでいくと、
「コレ……は?」
小さなテーブルに赤い薔薇とメッセージが添えてあった。
毎日、毎日、ここに置いてくれたのだろうそれには、ひとつひとつに私のことを気遣う言葉で溢れていて。
私は、赤い花にそっと触れる。
偶然かもしれないけれど、置いてあった薔薇は全部で5本。
花言葉は、"あなたに出会えてよかった"。
「……私も。私もだよ、ヴィー」
後悔したくない、と思った。
たとえ、セルヴィス様の隣にいられる未来がなくても。
そう思ったら、衝動的に駆け出していた。
動かなけばいけないのに、時間だけが過ぎていく。
いつまでも避け続けるわけにはいかないのに。
寝付けず、ふと見上げた空の月はもうすでに欠けていた。
「ああ、満月が終わったのね」
今月は苦しまずに済んだだろうか?
離れていても浮かぶのは、あの優しい笑顔で。
そんな資格もないくせに、なんだか無性に泣きたくなった。
「そうだ、ルクアの実」
ルクアの実の世話をしなくてはと。
自分を奮い立たせた私は自室をこっそり抜け出して温室に足を運んだ。
ドアを開けてた途端ふわりと暖かい空気が流れてきた。
「……?」
真っ暗な部屋にカンテラで明かりを灯す。
温室を見渡すけれど、セルヴィス様も黒狼も見当たらなかった。
代わりに手入れされた形跡のあるルクアの実を見つけた。
ここには私とセルヴィス様しか来ないのだから、きっとセルヴィス様が手入れしてくれていたのだろう。
他にも何か変わりはないかと確認しながら進んでいくと、
「コレ……は?」
小さなテーブルに赤い薔薇とメッセージが添えてあった。
毎日、毎日、ここに置いてくれたのだろうそれには、ひとつひとつに私のことを気遣う言葉で溢れていて。
私は、赤い花にそっと触れる。
偶然かもしれないけれど、置いてあった薔薇は全部で5本。
花言葉は、"あなたに出会えてよかった"。
「……私も。私もだよ、ヴィー」
後悔したくない、と思った。
たとえ、セルヴィス様の隣にいられる未来がなくても。
そう思ったら、衝動的に駆け出していた。