赤いフードの偽物姫と黒いフードの人外陛下〜敗戦したので売国しに乗り込んだら、何故か溺愛生活始まりました〜
再会の余韻に浸る間もなく帝国に渡ってからの日々と現状を掻い摘んでイザベラに話す。
私がリープ病である事とセルヴィス様の正体は伏せたまま全ての申し送りをした私に、
「……リィルの行動力を舐めてたわ」
とイザベラは苦笑混じりに感想を漏らした。
「勝手をしてごめんなさい」
普段なら事前に相談したけれど、帝国に渡ってからの行動は全て私の独断。
イザベラが戸惑うのも無理はない。
「ううん、ただやっぱり私達ホントよく似た双子だなって思っただけ」
そう言ったイザベラが取り出したのは紙の束。
イザベラに促されそれをめくり文字を辿った私は息を呑む。
「売国計画?」
「そう、私も売りつけようと思ってたのよ。帝国に、クローゼアを」
考えることは同じね、とクスクス笑うイザベラ。
「でも、私の筋書きはリィルのモノとは少し違うわ」
「これって」
「ここが自由に使えたら、帝国はもっと発展するでしょうね」
そう言ってイザベラが指したのは現在私達の従兄弟であるガメール公爵の領地。件の港町を含んだ一帯だった。
「コレを取引材料にする気!? ここは公爵領よ? 王領でない場所をすぐに自由にはできないし。それにここは今」
「要は取り上げるだけの理由があればいいのでしょう?」
そう言ってイザベラがニヤリと笑う。この顔は知っている。
「リィル、この暴君王女に不可能はなくってよ?」
私の大好きな暴君王女が勝利を確信したときの顔だ。
「"反逆罪"。それも王位に目が眩みクローゼア王を手にかけようとしたのなら、家門の取り潰しには十分過ぎる理由でしょ」
そこにはガメール公爵家とそれに加担した家門の名前が並び、国外からの密入者を手引きし、見返りとして秘密裏に違法な援助を受けた証拠まで記録されていた。
「どうして!?」
「ガメール公爵に私が言い寄られてたのはリィルも知っているでしょう?」
「ああ、うん。毎回ベラが手酷くやり返してた奴ね」
嫌そうな顔のイザベラを前にスンっと真顔になる私。
問題ありまくりの国だろうと王政が続く限り代替わりする。イザベラが王位を継ぐだろうこと見越して王配として名乗りを上げたのが公爵家出身の従兄弟殿だった。
とはいえ、大した功績はなく、継承順位を上げる努力もせず、王配として至らない点が多すぎるくせにプライドだけはバリ高の碌でなし。
そんな相手を選ぶはずもないのに、見向きもされないことに腹を立て爵位を得てからは王家と度々対立する始末。
ここ数年私達の悩みの種だったけれど。
「あの愚か者が治める領地だけ帝国の攻撃を想定より耐えられた。おかしいと思って調べたの」
イザベラが取り出したのは戦時中の報告書だった。おかしい、と呟いた後、イザベラはその違和感を放置しなかったらしい。
私がリープ病である事とセルヴィス様の正体は伏せたまま全ての申し送りをした私に、
「……リィルの行動力を舐めてたわ」
とイザベラは苦笑混じりに感想を漏らした。
「勝手をしてごめんなさい」
普段なら事前に相談したけれど、帝国に渡ってからの行動は全て私の独断。
イザベラが戸惑うのも無理はない。
「ううん、ただやっぱり私達ホントよく似た双子だなって思っただけ」
そう言ったイザベラが取り出したのは紙の束。
イザベラに促されそれをめくり文字を辿った私は息を呑む。
「売国計画?」
「そう、私も売りつけようと思ってたのよ。帝国に、クローゼアを」
考えることは同じね、とクスクス笑うイザベラ。
「でも、私の筋書きはリィルのモノとは少し違うわ」
「これって」
「ここが自由に使えたら、帝国はもっと発展するでしょうね」
そう言ってイザベラが指したのは現在私達の従兄弟であるガメール公爵の領地。件の港町を含んだ一帯だった。
「コレを取引材料にする気!? ここは公爵領よ? 王領でない場所をすぐに自由にはできないし。それにここは今」
「要は取り上げるだけの理由があればいいのでしょう?」
そう言ってイザベラがニヤリと笑う。この顔は知っている。
「リィル、この暴君王女に不可能はなくってよ?」
私の大好きな暴君王女が勝利を確信したときの顔だ。
「"反逆罪"。それも王位に目が眩みクローゼア王を手にかけようとしたのなら、家門の取り潰しには十分過ぎる理由でしょ」
そこにはガメール公爵家とそれに加担した家門の名前が並び、国外からの密入者を手引きし、見返りとして秘密裏に違法な援助を受けた証拠まで記録されていた。
「どうして!?」
「ガメール公爵に私が言い寄られてたのはリィルも知っているでしょう?」
「ああ、うん。毎回ベラが手酷くやり返してた奴ね」
嫌そうな顔のイザベラを前にスンっと真顔になる私。
問題ありまくりの国だろうと王政が続く限り代替わりする。イザベラが王位を継ぐだろうこと見越して王配として名乗りを上げたのが公爵家出身の従兄弟殿だった。
とはいえ、大した功績はなく、継承順位を上げる努力もせず、王配として至らない点が多すぎるくせにプライドだけはバリ高の碌でなし。
そんな相手を選ぶはずもないのに、見向きもされないことに腹を立て爵位を得てからは王家と度々対立する始末。
ここ数年私達の悩みの種だったけれど。
「あの愚か者が治める領地だけ帝国の攻撃を想定より耐えられた。おかしいと思って調べたの」
イザベラが取り出したのは戦時中の報告書だった。おかしい、と呟いた後、イザベラはその違和感を放置しなかったらしい。