根暗な貴方は私の光
それでも鏡子は引き下がろうとしない。あろうことか包を閉じて紬に押し付けたのだ。
「巫山戯ないでよ!」
「巫山戯てなんかない。こうするしか生きる方法はない、貴方だって分かるでしょう?」
嗚呼、やめてくれ。そんな同情を乞うような目を向けるのはやめてくれ。
そんな目を向けられてしまっては反論することもできない。恩人である彼女に何かを頼まれると断れないのだ。
逆らえないことを分かっていて、断れないことを分かっていて鏡子は押し付けているのだろう。
何故、友里恵ではなく紬なのかはきっと聞いても答えてくれない。そう納得してしまう自分すら紬は腹立たしかった。
「やめなさいよ、蕗ちゃんだっているんだから」
「……本当、そういうところよ」
「私にはこれくらいしかできないの。ごめんなさい、ごめんなさいね」
友里恵に仲裁され冷静な判断力が戻っていく。と、思われていた。
このまま引き下がってくれたら少しは落ち着けたかもしれないのに、鏡子は包を差し出したまま謝った。
彼女の何処に非があるのかなど紬には分からない。どう考えても非があるのは紬の方だったからだ。
しかし、何度も謝る鏡子が気に食わず、これまでの怒りに火が着いたことで紬の怒りは頂点に達した。
「あんた、本当にいい加減に!」
「な、何をしてるの?」
その時、店内に少女の可憐な声が響き渡った。鏡子に向かって吐き捨ててやろうと思っていた言葉が喉の奥で引っ掛かる。
一瞬だけ時が止まったように感じた。沸騰したように燃え上がっていた怒りが静まり、少しずつ冷静になる。
「蕗ちゃん……」
「これは……」
紬のみならず鏡子の表情も凍った。彼女のせいではないというのに彼女にそんな表情をさせてしまったことが悔やまれる。
情けない、いい歳をした大人だと言うのに我が儘なないものねだりで声を荒げるなど。
蕗から目を逸らしたため彼女が何を思っていたのかその表情からは伺い知れない。ただ、友里恵が蕗をその場から離してくれたことが幸いだった。
「少し、二人だけにしておきましょう」
二人きりになった途端時間がゆっくりと流れ出す。互いに口を開くことはなく、目を合わせずただ押し黙るだけの時間が流れた。
「巫山戯ないでよ!」
「巫山戯てなんかない。こうするしか生きる方法はない、貴方だって分かるでしょう?」
嗚呼、やめてくれ。そんな同情を乞うような目を向けるのはやめてくれ。
そんな目を向けられてしまっては反論することもできない。恩人である彼女に何かを頼まれると断れないのだ。
逆らえないことを分かっていて、断れないことを分かっていて鏡子は押し付けているのだろう。
何故、友里恵ではなく紬なのかはきっと聞いても答えてくれない。そう納得してしまう自分すら紬は腹立たしかった。
「やめなさいよ、蕗ちゃんだっているんだから」
「……本当、そういうところよ」
「私にはこれくらいしかできないの。ごめんなさい、ごめんなさいね」
友里恵に仲裁され冷静な判断力が戻っていく。と、思われていた。
このまま引き下がってくれたら少しは落ち着けたかもしれないのに、鏡子は包を差し出したまま謝った。
彼女の何処に非があるのかなど紬には分からない。どう考えても非があるのは紬の方だったからだ。
しかし、何度も謝る鏡子が気に食わず、これまでの怒りに火が着いたことで紬の怒りは頂点に達した。
「あんた、本当にいい加減に!」
「な、何をしてるの?」
その時、店内に少女の可憐な声が響き渡った。鏡子に向かって吐き捨ててやろうと思っていた言葉が喉の奥で引っ掛かる。
一瞬だけ時が止まったように感じた。沸騰したように燃え上がっていた怒りが静まり、少しずつ冷静になる。
「蕗ちゃん……」
「これは……」
紬のみならず鏡子の表情も凍った。彼女のせいではないというのに彼女にそんな表情をさせてしまったことが悔やまれる。
情けない、いい歳をした大人だと言うのに我が儘なないものねだりで声を荒げるなど。
蕗から目を逸らしたため彼女が何を思っていたのかその表情からは伺い知れない。ただ、友里恵が蕗をその場から離してくれたことが幸いだった。
「少し、二人だけにしておきましょう」
二人きりになった途端時間がゆっくりと流れ出す。互いに口を開くことはなく、目を合わせずただ押し黙るだけの時間が流れた。