もう恋なんてしないはずだったのに〜御曹司課長の一途な愛に包まれて〜
「私が起こしちゃいましたか?」

小声で囁くと顔を振る。

「朝からこんな幸せを感じることができて嬉しいよ」

「私も同じこと考えてました」

彼が私と同じ気持ちでいたことが分かり、嬉しくて思わず口にすると彼は目を細めていた。

「あぁ、今日が休みならいいのに」

まさか彼がそんなことを言うなんて思いもしなかった。彼の立場だったらそんな考えなんてないものだと思っていた。でもそれだけこの時間を大切に感じてくれているのが嬉しくてたまらない。私だって休みだったらよかったと本当に思った。それから私たちはもう少し、もう少しとベッドで過ごし、ようやく明日、金曜の約束をするとここから抜け出した。
シャワーを借りると昨日の服に袖を通した。いつもの黒いスーツを身に纏うと気が引き締まる。だが、昨日のまま行くわけにはいかない。彼が身支度を整えると私を車に乗せ自宅へ送ってくれる。彼は家に戻ると電車で出勤するという。

「また後で」

その言葉に胸が熱くなる。

「はい、また後で」

私は車が見えなくなるまで見送った。
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