もう恋なんてしないはずだったのに〜御曹司課長の一途な愛に包まれて〜
「だって……。みんな同じチームじゃないですか。それに私は地味で真面目だけが取り柄な女ですよ」

「地味に見せているだけだろ。それに推し活のために節約しているだけで、その節約は男どもには家庭的な倹約家に見えるんだ。もし月曜にこの黒のスーツを脱ぎ捨てたら一気に日菜の周りは危険になる」

真紘さんったらおかしなことを言う。私に限ってそんなことがある訳ない。会社で何年も働いてきたのにたかだかスーツを脱いだくらいで危険だなんて本当に真紘さんは大袈裟だ。

「何言ってるんですか。そんな訳ないですよ。このスーツを着ていれば社会人として間違いはないし、節約になるのは確かですが、これを脱いだとしても私の評価は変わりません」

はぁ、と頭をもたげ私の肩に頭を乗せてきた。そして耳元で囁く。

「もっと自覚して、日菜がどれだけ魅力的なのか」

魅力的なのは真紘さんでしょう、と返そうとしたが私の口は塞がれてしまった。

「これ以上したらまた離せなくなる」

そう言うと私からようやく離れた。ふっと胸元が寂しくなり切なくなるが、繋がれた手から彼の気持ちがまだ流れ込んでくるように温められていた。
夜遅いから、と家の前までタクシーで送ってもらう。
明日11時にまた迎えにくるから、と約束をしていてもまたすぐに会いたくなった。
部屋に戻るとひんやりしていてさらに寂しさが増す。
部屋にあるひかるくんのクッションを抱きしめると今日会ったことが思い出された。
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