もう恋なんてしないはずだったのに〜御曹司課長の一途な愛に包まれて〜
「夕飯にはまた早いし、少し散歩に行くか?」

まだ陽も高く、せっかくだから、とホテルを出た。手を繋ぐのはまだ慣れていない。でもここなら誰に見られる心配もない。そう思うと彼の手をぎゅっと握り返せた。

「この先にカフェや雑貨を扱うエリアがあるらしい。さっきフロントで言われたんだ。そこに行ってみるか」

「はい」

歩く道のりさえもなんだか楽しくて会話が弾む。背の高い彼を見上げるたびに優しく微笑む真紘さんの顔を見ては胸がドキドキしっぱなし。一体いつになったら慣れるのだろう。

「ここで少し休憩するか」

そう言われて入ったところはオープンテラスのあるカフェだ。紅茶を頼み、夕飯に響くからと小さなスコーンがのったおやつはシェア。
いくら日差しのある日中とはいえテラスは少しだけ肌寒い。彼と並んで座ったベンチチェアでブランケットを一緒に掛ける。
ティーカップからは湯気が上がりいい匂いがしている。運ばれてきてスコーンはジャムとクロテッドクリームが乗せられていた。

「ジャムを先につける? それともクリーム? 地方によってつける順番が違うらしいよ」

「そうなんですか? あんまり気にしたことがなかったです。でもスコーンを食べる時にはクリームを先につけたあとにジャムを乗せているかもしれないです。でも同じイギリスのものなのに不思議ですね」

つける順番なんて気にもしていなかったが、地方によって食べ方が違うなんて面白い。真紘さんはなんでも知っているなと感心してしまう。

「そうだよな、同じ国でも食べ方が違うなんて。俺も先にジャムかな」

そういうと自分のスコーンを半分に割りジャムをつけ始めた。彼は意外と甘いものも好きなのだと思う。見た目に反しているところが可愛らしい。
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