もう恋なんてしないはずだったのに〜御曹司課長の一途な愛に包まれて〜
***
彼女の几帳面な字で埋め尽くされたチェックリスト。見えないところで、どれだけの労力を積み重ねているのかが伝わってくる。
あまり残業する姿を見かけない彼女が残っていて正直驚いた。
でも反対に言えばそれほどまでに何か進めたい内容なのだろう。
電気の消された薄暗いオフィスで、うーん、と小さく悩む声が時々聞こえてきてクスッと笑ってしまう。
真面目すぎるくらい真面目な彼女のあの時の表情は驚くものがあった。普段の彼女は地味で、表情も読みにくい。だから、あの日コラボカフェで見た無邪気な笑顔に、思わず口をついて出た言葉は軽率だった。彼女があそこまで動揺するとは思わなかった。
今夜、隣で作業を共にしてみて、改めて気づいた。目立たないが、仕事に対する姿勢は誰よりも誠実だということ。そして彼女の、うーんと唸るあの声もなんだか可愛らしく思えてしまい、自分で小さく笑ってしまった。
ほんの少しだが、彼女への興味が芽生え始めていた。
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