義兄の愛に人生観を変えられ……



一年後……
 亮太君のデザインした広告が渋谷の大きな看板に掲載されたので、一緒に見に行った。
 今日私は真っ赤なワンピースを着て歩いている。
 一年前なら考えられなかった色だ。
「すごいね」
「ありがとう。次はみどりの番だぞ」
 相変わらず私の頭を優しく撫でてくる。
 大きな手のひらが頭に乗せられると、胸がキュンキュンしてたまらない。
 私の頭を撫でた手が今度はゆっくりと腰に回された。
「亮太君、スキンシップがちょっと激しいんじゃないかな……」
「だって、しばらく会えなくなっちゃうからさ」
 亮太君は会社の推薦で、外国にデザインの勉強をしに行くことになった。
 せっかく兄妹から恋人になることができたのに、離ればなれになってしまうのは淋しくて不安だ。
 しかし私は彼を送り出すことに決めている。
 私の感情で彼の行動を止めてしまうのは絶対にしたくない。
 デザインを学ぶことでまた新たな可能性が広がり、その作品を見て人生が変わる人がいるかもしれない。
「そのとき一番大切なものを大事にして行こうって決めたでしょ? 今の亮太君は、外国で勉強することが大事」
「みどり、なんだかすごく頼りがいのある人になった。俺が背中を押さなきゃってずっと思ってたのに、逆に背中を押してもらってる」
 少しでも役に立てているのかなと思ったら嬉しい。
「どんどんみどりのこと好きになっていく。ますます素敵な女性になっていく。だから俺も負けないで頑張ってくるから」
「もう充分素敵なんだけど……」
 思わず本音を呟いてしまった。
「あやっぱりスキンシップしたい」
 手をつないでくるので私は恥ずかしいけれど握り返した。
「これ以上のことは外出はダメだよ」
「じゃあ、家に帰ろっか」
 これからもいろんなことがあるかもしれないが、私と亮太君のカラーが混ざり合ってどんな色になって行くか楽しみだ。
                                       完
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