恐怖病院
女の子はガクガクとしたいびつな動きで渚ちゃんに近づいていく。
渚ちゃんが怯えて一歩後ずさりをする。
けれど、両手はぬいぐるみを持って相手に突き出したままだ。

女の子が突然勢いよく頭をふって「ギャアア!!」と甲高い悲鳴を上げたかと思うと、両手を突き出して渚ちゃんからぬいぐるみを奪い取っていた。

「ヒッ!」
短い悲鳴を上げた渚ちゃんがすぐに私の横へ駆け戻ってきた。
その体はブルブルと震えている。
「あ……あ……ありが……とう」

女の子がいびつに微笑んでなにかを差し出してきた。
それは《恐怖病院》のイラストが印刷されたステッカーだ。
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