恐怖病院
走るとショートヘアの頭につけたクマ耳カチューシャがずれ落ちてしまいそうになって、慌てて右手で支えた。

前に家族でここへ来たときに買ったカチューシャだ。
せっかくだから持ってきたのだけれど、他のみんながまだ遊園地での正装していないので少しだけ浮いて見えるかもしれない。

「真希、今日一番はしゃいでるじゃん」
佳奈美に肩をつつかれて私は大きく頷いた。
この遊園地に遊びに来るのは小学校以来だ。

家から一番近い遊園地だけれど私の両親は共働きで、母親は土日休みではないパート社員なのでなかなか遊びにくることができなかった。
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