【改稿版】幼馴染との婚約を解消したら、憧れの作家先生の息子に溺愛されました。

4・嫉妬と束縛

 その日の夜、あの天ぷらの味が忘れられず、少しぼーっとしていた。
 美味しかったなぁ……あれ、家でもできるのかな。
 リビングでビールを飲みながらそんなことを考えていると、裕貴が唐突に聞いてきた。
 
「しのぶ、おまえ昼間、誰といた?」

 ドキッ!
 もしかして、桐人さんと一緒にいるところを見られてた!?
 一瞬だけ、昨日の大量のスマホメッセージのことを思い出す。
 でも、やましいことは何もしていない。正直に答えよう。
  
「誰って、安浦先生の息子さん。マクベリの営業部長なのよ」
「やけに親しそうだったじゃないか」
「そりゃあ、毎日安浦先生の家に、洗濯に行ってますからね」

 少し、言い方が意地悪だっただろうか。
 すると、裕貴が怪訝そうな顔をした。
 
「……おまえ、まさかその男と……」
「ちょっと。その男(・・・)なんて言い方しないで。桐人さんとは仕事で行ったの。それに、安浦先生のお世話だって仕事の一環でしょ?」

 裕貴の言い方にカチンときて、私もつい強めの口調で言ってしまった。
 
「桐人さん!? 名前で呼んでるのか!?」

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