マリオネット
「もちろん!」
 
 あの翔太郎が私に向かって
「綺麗になったね」って。

 別れる時に「抱けない」とか言ってたクセに。
 今さら何なんだろう。
 お風呂で考えていたことが再度思い浮かんだ。

 犯人が田中さんだと思っていた盗聴器が、翔太郎ではないか?という疑惑に変わった。
 だがその方が実際、現実味がある。

「凪。お風呂入っちゃいなよ。私は大丈夫だから」

 考えてもしょうがない。
 特に何かされたってわけでもない。

「陽菜乃さん、大丈夫?」
 凪は心配そうな表情でこちらを見ていた。

「うん。大丈夫だから。引き止めてごめん」

「ううん。じゃあ、行って来る」
 
 凪がお風呂に入っている間、考える。

 翔太郎の奥さんってどんな人なんだろう。
 杏佳なら何か知っているかな。
 凪もお風呂に入っているし、ちょっと電話してみよう。

<プルルルル……プルルルル……>

<陽菜乃?どうしたの?>

「あっ、ごめん。ちょっと今話せる?」

<うん、大丈夫だよ>

「あのさ、翔太郎のお嫁さんってどんな人か知ってる?」

<えっ!どうして急に?もしかして……。まだ未練があるとか?>

「あるわけないじゃん!あんなやつ!実は今日、たまたまお店の中で会って。友だちと遊びに来てるって言ってたの。新婚なのに、お嫁さんとデートとかじゃないんだって思って」
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