マリオネット
 このくらいで部屋はなんとか大丈夫かな。
 玄関まで凪を迎えに行く。

「俺、汚いからダメだって」

「だから、このままお風呂に入ってもらいます」

「へっ?」
 凪をバスルームへ連れて行く。

「脱いで。洋服も全部洗濯しちゃうから。下着の予備は持ってないの?」
 凪の荷物は、小さなトートバック一つだけだった。
「一つだけ持ってる」
 彼は恥ずかしそうに小声で呟いた。

「じゃあ、それ以外全部洗濯する。洋服は、一日くらい私のなんか貸すから」

「待って。状況が全く理解出来ないんだけど。なんで陽菜乃さんの家で風呂入らなきゃいけないの?」

「なんでって、今日から凪の家はここだから」

「はっ?そんな話聞いてない。わかってると思うけど、俺、全然金持ってないよ。陽菜乃さんの負担になるだけじゃん」

「それは、追々考えていくこととして……。まぁ、お風呂入って来て。剃刀出しておいたから、髭はちゃんと剃ってね。あと、眉のハサミもおいて置くから。きちんと整えること」

「えっ?」
 
 強引だと思ったが、なんとかお風呂に入ってもらうことに成功した。
 凪が着れそうなものあったかな?
 身長が高いから。痩せているし、大丈夫か。

 かれこれしているうちに
「陽菜乃さん、終わった」
 彼の声がした。

 前髪が長く、隠れてはいるが、私が言った通りに髭と眉は整えたみたい。
 部屋着も着れたみたいだし、良かった。黒いTシャツにハーフパンツ、似合ってるじゃん。
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