マリオネット
「ありがとう!迷惑じゃないよ。ランチって言っても、付き合いで行くとお金かかるお店とか入らなきゃいけないし……。助かる!あっ、でも、ちゃんと自分のお弁当もあるんでしょうね?」

 彼の性格だから、食費がかかるから自分は食べないとか考えそう。

「うん、陽菜乃さんと一緒のお弁当だよ。食べないと怒られると思って」
 ちゃんとタッパーに入っている自分の分を見せてくれた。

「良しっ、いい子いい子。凪は痩せすぎてるから、健康的な身体になるのが一番だからね。私がいなくてもちゃんと食べるんだよ」
 頭を撫でると、ちょっと凪は恥ずかしそうだった。本当に猫みたい。

「じゃあ、私、行くから。家事が終わったら、テレビとかパソコンとか使っていいからね。もし、出かけるなら鍵は閉めて?何かあったら、昨日教えた通り、メールして」
 靴を履きながら、伝えたいことを早口で説明をする。
 
 彼は、スマホを持っていない。持っていたが、お金を払えず止められてしまったと言っていた。なので、日中の連絡手段として、私の家のパソコンから私のスマホへメールしてもらうように昨日説明をした。
 本当は、スマホがあれば一番良いんだけど。
 給料日前だし、そんな余裕がない。
 それに……。正直、凪を全て信用していない。

「行ってらっしゃい。気を付けて」
 寂しそうな顔をしている。可愛いな。
「行ってきます」
 私はいつも通り会社へ出社をした。
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