マリオネット
「藤崎先輩って、怖いよね?なんか近寄りがたいって言うか。さっきだって普通に教えてくれたっていいじゃん!」

「まぁね。仕事はできる人だけど。だからって別に尊敬とかそういうのないな」

 同じ部署の同僚と話しているのだろう。
 こんな話されてたら、トイレから出れないじゃん。気まずい。

「だってさ、仕事ができるって言ったって三十歳過ぎてるのに、彼氏もいなさそうじゃん。デスク回りとかは綺麗だけど、部屋汚そうだし。毎日一人でお酒飲んで、カップラーメンとかインスタント系食べてそうなイメージだよ」

 はぁ?確かに部屋は汚かったかもしれないけど。
 なに、そのイメージ。
 
「えっ、彼氏いたんだよ?この前まで。フラれたっぽい。噂だけど。一時、なんか元気なかった時あったじゃん。半年くらい前。覚えてない?」

 げっ、当たってる。
 私、誰かに彼氏がいるって話したっけ。
 十年付き合ってたんだもん、それは誰か知っているよね。
 別れたって話は……。
 あっ、飲み会で酔って誰かに話したかも。
 それで広がったのかな。

「あぁ!覚えてる!あの時かぁ。まぁ、仕事一筋のオバサンって感じだもんね。別に生涯一人でいいんじゃない?」

 私ってそんな風に見られているんだ。
 なんかやっぱりショックだな。

 さすがに良い気持ちはしなかった。
< 78 / 186 >

この作品をシェア

pagetop