黒百合の女帝
 ならば、残るは派手髪女とピアスの多い男。

女は私とラクアから距離を置き、逃げようとしていた。

そんな女を逃すまいと、角まで追い詰める。

女は手をついて逃げるが、逃走は諦めたようだ。

背を丸め、頭を懸命に守っている。

生命だ、と感じつつ、彼女の頭に刃先を向けた。

 「許してください。お願いします。なんでもします」

許しを乞う女から、刃物を下ろした。

それと同時に、その丸まった背に踵を落とす。

立て続けて無抵抗な女をバットで打り、倒れさせた。

適当に肩や背中を殴っておき、一旦手を休める。

そういえば、残り一人はラクアが倒していたような。

試しに振り向けば、ラクアは男の上に乗っていた。

その下で、ピアス男が血塗れで気絶している。


 返り血を浴びたラクアと、暫し見つめ合った。

床に転がる八人の男女と、静寂で満たされた工場。

達成感に浸る中、先に開口したのは私だった。

 「……念の為、一人ずつ殴ってから帰ろうか。ラクアは休憩してて。」

 「俺がやる」

 「大丈夫。だって私、女帝なんだもん。これくらい平気だよ。」

そう言い、ラクアに笑い掛けて見せる。

彼は何も言わないので、派手髪女の側に移動した。
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