黒百合の女帝
 「ヤユは、そんな生半可な気持ちで言ったの?麓冬に入るって。」

彼を真っ直ぐ見つめながら、そう挑発すれば。

興奮した彼が、机に手を付いて立ち上がった。

 「そんなわけない!僕、本気でユリちゃんに償いたいんだ!」

 「なら、嶺春から抜けてくれるよね?」

同じ問いに、またしても彼は言葉を詰まらせた。

沈黙が続くが、そんな中側から聞こえてくる哄笑。

視線を移し、爆笑するハラを真顔で見れば。

それに続き、ヤナギが控え目に笑い出した。

ヤユは心配したのか、二人を交互に確認する。

ハラはそんな彼に、丁寧な解説を始めた。

 「ごめんねヤユくん。でもなんてゆーか、さっきあんなカッコつけてたのになぁ〜?って」

そう言いながら、尚も笑い続けるハラ。

彼らの嘲笑を理解したヤユは、再び俯いた。

どうせ、過去の言動を恥じているのだろう。

彼らも意地悪なことをする。

私も内心、同じことを考えていたが。

結局、彼の回答は「金曜までには決めるので……」だった。
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