黒百合の女帝
夏八side

 街はイルミネーションに包まれていた。

クリスマスツリーを見上げながら、息を吐く。

クリスマスまで、残り一週間ほど。

今年はクリぼっちだろうか。それとも……

隣を歩くユリさんを見るが、目を逸らす。

な訳ないか。擬似恋愛ですらないのだし。

それに、以前ハラと共に聞いた話。

彼女は過去に、嶺春から裏切られたらしい。

まだそこの総長に、未練が残っているかもだし。

それにしても、手が冷たい。

ユリさんと別れたら、手袋でも___


 突如として、手が温もりを感知した。

手を二度見した後、その横顔を凝視する。

ユリさんは恥ずかしがる様子もなく、俺の手を握っていた。

 「え、突然どうしたん」

 「敬語辞めて。ラクアが後ろから付いて来てる。」

俺の動揺を気にせず、小声でそう告げるユリさん。

その報告に振り向きかけるが、寸前で我慢する。

彼女の話が本当ならば、そのような行動は避けるべきだ。

というか、なぜラクアが追跡を?

考えてみるが、彼とはほぼ話したこともない。

よって、推察は困難だ。まずは指示に従おう。

でもその前に、彼女から計略を聞いておくか。
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