黒百合の女帝
 それから彼らが出てきたのは、およそ三分後。

近くに隠れ、ベンチに座った二人を見守る。

わかりにくいが、互いに自分の耳を触ってる?

目を凝らし、何をしているのか探る。

その時、彼女の耳元がイルミネーションで光った。

確かに、俺は見た。

彼女の耳元で、リングピアスが輝くのを。

そこには、夜風に泳ぐ海月が居なくなっていたことを。

それは右耳ではなく、左耳ではないのか。

そう一縷の望みに賭けてみるが、何度見てもそれは右耳で。

よく見れば、カヤの左耳には色違いのそれがあった。


 白い息をゆっくりと吐き、フードを被る。

そして両耳から海月を外し、ポケットに突っ込んだ。

プレゼントも一緒に捻じ込んで、この場を後にした。
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