黒百合の女帝
 スマホは仕舞い、新たな話題に乗る事にした。

 「ユリを見るに、海月のイヤリングしか持ってないみたいだったから」

 「でも今はリングピアスもあるよ?イヤリングだけど。」

 「そんなの知らなかった。それから……」

歯切れ悪く話を止め、彼女の両耳を見る。

そして、次に自分の耳元に触れる。

そこには、付け直した海月が居ることだろう。

 「もしユリが俺を好きになってくれたら、それを付けてくれ」

彼女の眼を見ながら、真剣に頼み込む。

すると、口を薄く開けた状態で固まるユリ。

おい、と声を掛ければ、突然彼女は笑い出した。

普段よりも大きい笑い声に、俺の方が固まる。

 「凄く恥ずかしいこと言ってるって自覚ある?」

 「俺は本気だ」

 「いやそうだろうけどさあ……うん、わかった。」

笑いを堪えながら、彼女は大きく頷く。
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