黒百合の女帝
 「おい、謝罪の一言くらい……あ?お前、残鰐(ざんがく)か?」

チンピラはそう言うと、ラクアに顔を近づける。

残鰐。その名を聞いたのは、嶺姫だった頃以来。

ラクアも同様に反応し、相手を睨みつける。

しかし、厄介な状況だと判断したのだろうか。

強めに私の腕を掴み、逃げる体勢をとった。

結局は走る前に、腕を掴まれてしまったのだが。

ラクアは振り払おうとしたが、捻られ苦悶の表情。

 「答えろよ。そこの嬢さんも怖がってんぞ?」

怖がってはないのだが、抗議はしない。

その代わりに、相手の頬を引っ叩いて対抗した。

不意打ちにチンピラの力は弱まり、ラクアは解放される。

それにしても、ここが物騒な繁華街で良かった。

誰もが見向きすらせず、スマホも向けてこない。
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