黒百合の女帝
 「逃げよっか。」

 「ああ、ただ……」

 「ガキが!ぶっ殺されてぇのか!?あ!?」

ラクアの言葉を待たずに喚き出すチンピラ。

どうやら、チンピラは対戦を望むようだ。

ならばそれで良い。私は応戦しないが。

ラクアが一人で戦う姿は、見た事がなかったのだ。

試しに、残鰐の純粋な実力を観戦するか。


 ところで、大衆の面前での騒ぎは避けたい。

一先ず、人目の付かない場所へ移動するか。

 「喧嘩なら、場所を変えましょうか。そこの路地なんかはどうでしょう?」

私の提案に、ラクアが驚いたように振り向く。

しかしそれとは対照的に、チンピラは乗り気だった。

 「ああイイじゃねえか!サツに中断されることもねぇしな!」

爆笑しながらラクアの肩を掴むチンピラ。

私にぶたれた恨みをもう忘れたのか?

と思わざるを得ないほど、男の目にはラクアしか見えていない。

まあ、そちらの方が都合が良いのだが。

ラクアもこの男に呆れたのか、その挑発に乗り始めた。

 「わかった。一人で片付けてやる」
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