黒百合の女帝
 「まだ反論しますか?」

 「話を聞いてあげても良いかな。」

紙をファイルに戻しながら、そう返す。

表情こそ強張ったままだが、相手は微かに期待を見せた。

そうやって男の心理を推測するのと並行して、その格好を一瞥する。

相手は盗聴器やカメラを隠し持っている可能性が高い。

彼らが僕を脅すというのなら、必ずある筈だ。

だが、それらの検出は今この場では不可能。

ならば、その証拠を使えなくしてやれば良い。

その為には、僕が彼らの情報を引き出す必要がある。

音声の中に、もし彼らの正体を示す言葉が入っていたら。

それだけで、彼らは証拠を嶺春に提示できなくなる。

表情から笑みを消し、眉間に力を入れる。

嶺春思いの副総長なら、そうする筈だろうから。
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