黒百合の女帝
 「ミヤビ曰く、麓冬の下っ端はスパイでない、とのことです。」

現在時刻、零時丁度。

カヤの報告を聞き、髪の毛を弄る手を止める。

そしてカヤを見上げ、軽く微笑んだ。

 「計画通りだね。まあ、面倒な条件は出してきやがったけど。」

相手はあのミヤビだ。関係を長引かせたくない。

なのに、彼は一回だけ協力、と言いやがった。

私たちがそれを切り札とする事を踏んだのだ。

嶺春に勝てる見込みがつくまで、関係は続く。

 「別に、約束なんか守る必要はないのでは?」

カヤは意外、とでも言いたげな表情でそう問う。

 「約束を守らなきゃ、あいつは一生粘着してくるよ。」

 「そんな奴に協力して良かったんですか?」

 「良いんだよ。約束を守れば問題ない。」

返事をしつつ伸びをし、椅子から立ち上がる。

向かう先はヤナギが買ったコーヒーメーカーだ。

コーヒーを入れながら、ミヤビについて考える。
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