黒百合の女帝
 始まりは、彼が屋上に来た日のこと。

連れてきた幹部曰く、最近仲良くなったとか。

おかしな話だと思い、僕はあいつを訝しんだ。

すると今度は総長まで絆されて……

 「本当、リンも学習しろよって毎度思うよ」

 「シズルも苦労してるんだね」

 「そりゃあ当然。伝説の不良だとかいう噂も、どうせ自分自身で流したデマだろあんなん」

二人ともただでさえ馬鹿なのにあんな奴と関わって……

 「あっ、ごめん。愚痴ってばっかで。久しぶりにカヤにいと話せたのに」

そう謝れば、カヤにいは顔の前で手を振った。

 「いいや。近頃また会いに来るから、気にすんな」

 「えっ、本当?」

声が明るくなるのを感じながら、確認する。

するとカヤにいは力強く頷いてみせた。

 「シズルが悲しむような嘘、吐くわけないじゃん」

 「じゃあさ、次はうち来てよ。ゲームしよ」

 「よし、なら都合ついた時に連絡するから」

そう言い、注文タブレットを操作するカヤにい。

その長い指が、会計をタップした。

 「もう帰っちゃうの?」

 「用事がな。シズルはゆっくりしてろよ。じゃあ、連絡待ってる」

早口で捲し立てるなり、カヤにいは去っていく。

名残惜しかったが、邪魔も悪いので辞めておいた。

ただ、次に会った時はしこたま遊んでやる。

そう密かに決意し、ハンバーグを口に入れた。
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