黒百合の女帝
 無事、午後九時には天楼の監視が始められた。

盗聴器で中の会話を盗み聞いたが、成果はなし。

日付が変わったあたりで、地面から腰を上げる。

例の男はここ二日、零時頃に倉庫を去っている。

今日も同様に、そろそろ出てくるだろう。

そんな目論見通り、数分後には男が出てきた。

密かに写真を撮った後、彼の後を追う。

尾行に関しては、完全なる独断だ。

それでも、する価値はあると判断した。

この男には、何らかの裏がある。

繁華街を抜け、電車に乗り、住宅街に入り。

アパートに来た所で、ようやっと立ち止まる。

彼が中に入っていった瞬間を撮り、任務完了。

慣れたもんだと自らに感心すらしてしまう。

もう暫く張り込んだが、男は出てこなかった。

零時半になる頃には現場を離れ、家に帰った。
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