黒百合の女帝
百合side

 『そういう訳で、梅井叶鳴が怪しいかと』

 「了解。そいつについては、その桜蘭生に監視させて。」

 『わかりました。他には何か』

 「いや、大丈夫。じゃあラクアからの報告もあるから、電話切るね。」

一言断った後、メッセージアプリを開く。

そこにはラクアからの未読メッセージが40件。

何かと思えば、九割が画像を占めていた。

その一つ一つに目を通し、ココアを飲む。

全て読んだ結論、天楼は嵌められた。

スマホを机に伏せて置き、椅子に背を預ける。

が、倉庫の椅子と違って硬い。

当然だ。ここはコンビニのイートインスペースなのだから。

ココアを飲みながら、推察を捗らせる。


 ラクアの考察も、一理ある。

反嶺派が避難先を移すのは合理的だ。

が、嶺春の監視区域は広範囲に及ぶ。

五つもの族が何度も移動するのは無理があった。

よって、ファイルは撹乱用である可能性が高い。

しかし、天楼の所持品ではない。

撹乱用のファイルは捨てる必要がないからだ。

つまりそれを用意したのは、あの不審な男。

天楼に偽の証拠を潜ませ、囮にさせる。

ついでに、天楼を犯人に仕立て上げる気だろう。

ミヤビが共犯なのだから、そんなものは容易だ。
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