黒百合の女帝
 まあ、ラクアが追った男も手下だろうが。

未だ、目的の人物は見つからない。

ミヤビがXと呼んでいた人物……誰なのか。

カヤが訪ねた、百鬼夜行の副総長。

彼曰く、裏のありそうな男が居るとか。

そのカナルという男がXの可能性はある。

天楼や嶺春の諜報員など、大した仕事じゃない。

しかし、大規模な族との同盟を取り付ける役割。

これは重要な役目だ。Xの担当かもしれない。


 「ユリちゃん、険しい顔してどうしたの?」

 「嶺春の面々を思い出して腹立ってた。」

 「え、そこに僕って含まれてたりする……?あ、変なこと聞いてごめん!」

なんだ。ぼそぼそと耳障りだな。

隣に目線を向ければ、そこには落ち込むヤユが。

そんな彼を慰める暇もないので、時計を一瞥。

午前一時まで、あと20分くらいか……。

 「よし、ヤユ。私たちも行くよ。」

椅子から立ち上がり、黒いコートを羽織る。

するとヤユも立ち上がり、無駄な動きをした。

 「うん!えっと、ポシェットとコートと、あっ、髪結ばなきゃってうわ!?」

 「帽子もね。」

帽子を被せると、間抜けな悲鳴を上げるヤユ。

視界を奪われ、よろめく姿に笑いを堪える。

やはり、昔からヤユといるのは楽しい。

その事実は、今尚変わらないようだ。
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