黒百合の女帝
 扉を前方に押せば、垣間見える景色が広くなっていく。

半分以上開けたところで、棚橋の姿が確認できた。

柵の方を向きながら、あぐらをかいているようだ。

周辺にはチョコレート菓子の袋やゲーム機が散在。

その中に勉強道具の類は一切なし。

まあ、ここに入学できた時点で頭は良いのだろう。

では、なぜ単位を取るという選択をしないのか。

理解に苦しみながら、棚橋の方に近付いていく。


 棚橋 楽亜。我が校唯一の不良。

適当に伸ばし続けたであろう黒色の蓬髪。

着崩した制服と、口元のリングピアス。

耳にはイヤーカフとアンテナヘリックス。

目の半分は前髪に隠れ、顔全体は確認できなかった。

昨年同じ学級だったが、その姿を見たことはなし。

現在、彼の名前は一年の名簿に記載されている。

そんな謎多き学校一のサボり魔に接触する。
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