黒百合の女帝
 「とにかく、カケルの強化は必要だと私は思う。」

 「それは昇格云々とは関係なく、ですか?」

 「まあね。カヤは彼が幹部にならなければ良いんでしょ?」

私がそう尋ねると、カヤが口角を下げた。

拗ねたのか知らないが、視線も逸らされる。

その様子を眺めていれば、彼が一言。

 「別に良いですよ。あいつが裏切っても知りませんけど」

 「へえ。じゃあ早速、ヤユに訓練を変えるよう伝えておいて。」

 「ああ、わかりました、はい、はい」

適当な返事をし、立ち上がるカヤ。

彼は私に背を向け、コーヒーメーカーの前に立った。

コーヒーを作り始めた彼の背に問い掛けてみる。

 「なにが不満なの?」

 「なにも」

口籠るように喋り、淡々と手を動かすカヤ。

面倒だな、と思いつつ彼をからかってみる。

 「そうだよね。麓冬のことを真剣に考えてくれてたのに、否定されたら拗ねちゃうよね。」

 「真剣なんかじゃないですし、拗ねてません」

 「そう?なら早く機嫌直してね〜。」

最後までふざけた口調のまま、鞄を取る。

そしてカヤが苦言を呈す前に、倉庫を去った。
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