黒百合の女帝
 それから一ヶ月弱が経過した金曜日。

黒崎はあの一件から、屋上に戻って来た。

俺も俺の方で、もう煩わしさを感じなくなり。

それどころか、あの時間を心地良く感じつつあった。

毎日欠かさず来る彼女に、そろそろ慣れてきたのだろう。

それにしても、今までこのように誰かを欲したことなどない。

もしやこれが、友情とやらだろうか。


 読んでいた本を閉じ、スマホを確認する。

12時25分手前。そろそろ昼休みが始まる時間。

野菜スティックを取り出し、彼女を待つ。

扉の開閉音を待ち、五分が経過。

普段は来ている時間だが、授業が長引いたのか?

又は教師や学友から頼み事を請け負ったのか。

まあ、特段気にするようなことでもないだろう。

本を続きの頁から開き、大人しく待つこととする。

そして10分、20分、40分と時は過ぎ。

ページを捲る手は止まり、時刻を頻繁に確認し。

昼休みが終わっても尚、野菜スティックは未開封のままだった。
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