黒百合の女帝
 「ヤナギは、私の存在をいつから知っていた?」

と、ユリさんが俺を見上げながら尋ねてきた。

彼女がなぜそのように問うてきたのか。

不思議に思いつつ、素直に知っている事を話す。

 「嶺姫の存在を知ったのは九月あたりだと思いますけど」

 「待って、ヤナギはユリを知らなかったって事?」

 「は?いや、当然知りませんでしたよ。嶺姫については調べなかったらしいんで」

変な質問に眉を顰めつつ、机のゴミを片付ける。

その間も、彼女は考え込んでいる様子だった。

横目で見ていれば、ユリさんが徐に口を開く。

 「じゃあ、私とヤナギの遭遇は偶然ってこと?」

 「まあそうなりますね。あの人自身、丁度良い人材が見つかったって驚いてましたよ」
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