黒百合の女帝
 「た、棚橋くん!?ど、どうしたの!?」

 「うるせ」

突然大声を出した男に、つい暴言が口を突く。

教室中の視線を感じるのも中々に面倒だった。

が、ユリに認めて貰う為ならば仕方がない。

しかし、何かする前から怯えているこの男。

どうしたら良い印象を植え付けられるか。

そこまで考え、好物の共有を思い付く。

普段はユリにしか分けないが……致し方あるまい。

一旦自分の席に戻り、鞄からチョコを取り出す。

そしてそれを怯えたそいつに一粒分け与えた。

困惑した様子だが、説明のしようもない。

生徒会長に認めて貰う為、など言えないからだ。

なので善行はここまでとし、自分の席に戻る。

次の授業は移動だったし、もう出るとしよう。

荷物を持ち、同級生の視線を浴びながら教室を出た。
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