黒百合の女帝
 そういえば、善行とは他に何があるだろうか。

と考えていれば、前方から集団の声が聞こえてくる。

それをノイズ程度に捉え、思考に耽っていたのだが。

 「そのイヤリングどこの?可愛いね〜」

 「貰い物だからわかんないや。私も気に入ってるんだ。」

集団の中に、聞き覚えのある声が混ざっていた。

顔を上げれば、そこには予想通りのユリが。

こんなことでなら、普段は驚かない。

なのに、思わず足を止めてしまったのは。

彼女の髪の隙間から、それが見えたから。

慌てて振り向き、その耳元を再確認する。

颯爽と、髪を揺らしながら歩く彼女の耳には。

青い、透明な花弁が舞っていた。
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