黒百合の女帝
 翌日。午前七時過ぎ。

指定されたマンションに到着し、様子を伺う。

どうやら、彼女はまだ来ていないようだ。

ついでに、例のストーカーも見受けられず。

警戒心を一旦緩め、マンションを見上げる。

明らかにボロいそれは、彼女の友人宅だとか。

今にも崩れそうだなあ、と眺めていれば。

そのマンションから、一人の女性が出てきた。

白いブラウスに黒のタイトスカート。

そんな格好に、一瞬社会人かと無視しかける。

が、突然その別嬪さんに話し掛けられた。


 「おはようございます。ユウヒさん。」

驚いて顔を上げれば、そこにはユリさんが。

予想外の出来事に目を見開き、声を上げる。

 「えっ、ユリさん!?あ、すみません。てっきり制服姿だと思ってたので……」

そう口走れば、彼女は上品に笑う。

 「私の学校は私服登校なんです。ところで、ユウヒさんもパーカーなんですね。」

 「まあ、自分は校則破ってるだけですけどね」

 「でも、十分似合ってますよ。ピアスとも雰囲気が合ってて素敵です。」

そう言うと、彼女の表情が一転。

険しい顔付きで、周囲を軽く一瞥した。

 「怪しい人は居ませんね……早い内に出発しましょう。」

 「わかりました。もし何か異変があれば、すぐに報告して下さい」

警戒心を再び強め、二人で歩き始めた。
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