黒百合の女帝
 どうやら、彼は勘違いをしているらしい。

手紙の内容もそうだった。

ユリさんが自分を愛していると思い込んだ内容。

それが病気なのかどうかは知らない。

だが、そんな戯言で彼女を危険に晒すなど……

絶対に、許さない。

 「……ユリさん。警察を」

 「あっ、はい。わかりました。」

彼女は我に帰ったように返事をし、電話を掛け始める。

その間、叫ぶ男と湧き出る殺意を押さえ続けた。

すると通報を終えたのか、彼女が駆けて来る。

 「トシアキ君にも電話を掛けておきました。今すぐここに来れるそうです。」

叫声に掻き消されぬよう、声を張って喋る彼女。

俺も同じように、大声で返事をする。

 「なら良かったです。危ないから離れていて下さい」

幹部候補のトシアキの実力は、幹部のヨウと互角。

二人掛かりならば、確実に持ち堪えられる。

胸を撫で下ろしていれば、彼女が口を開けた。
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