黒百合の女帝
 ユリさんを守りながら、男を攻撃……

難しそうだが、約束した以上やり遂げなければ。

息を浅く吐き、五感に意識を集中させる。

先に動いたのは、男の方だった。

俺の腹部目掛けて刃先を向け、突進してくる。

その腕を掴み取り、即座に男の背後に回った。

そして掴んだ腕を強く捻り、もう片方の腕も抑える。

瞬時にがら空きの脚も蹴り、男を全体重で倒れさせた。

その拍子に手から落ちた包丁を、力任せに蹴れば。

包丁は車道を滑り、遠くへと飛んで行った。

 「ユリさんっ!回収してください!」

そう叫べば、ユリさんが弾かれたように立ち上がる。

そして無事、包丁を取ってみせた。

それに安心していれば、男が何かを叫び始める。

 「なんで……どうして裏切るんだ、ユリ!お前のためにこいつを襲ったのに!」

何を言っているんだ?この男は。

気味の悪い男に、不快感を抱く。
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