黒き噂の辣腕社長は強がり契約妻に生涯愛を絶やさない
彼との結婚を決めたとき、それは同時に離婚の決意を固めたときでもあった。
糸貫庵を守るためならなんだってしてみせると、彼の思惑を知っていながら結婚の話を受け入れた。
未来のない関係。結婚生活が長くなるにつれてそれが苦しくてたまらなかったけれどと、ハンドルを握る彼をこっそりのぞき見る。
彼を好きになってよかった。今ならそう、胸を張って言える。
「なんだ、依都。俺に見惚れているのか?」
あまりにじっと見つめていたせいで、気づいた彼がいたずらな口調でからかう。
「そうだよ。私の旦那様は、本当に素敵な人だなって」
いつもの私なら、あたふたして狼狽していただろう。
でも今は、熱くて甘い弟さんカップルにあてられたのか、自分の気持ちを素直に伝えたくなった。
「なっ」
私が積極的に出るとは思っていなかったようで、驚いた彼は口もとを片手で覆った。その耳もとが赤く染まって見えるのは、絶対に気のせいじゃない。
彼の心を揺さぶれたことに気をよくして、さらに続ける。
「大好き、光毅さん」
長年一緒に過ごしていると、夫婦は似てくるなんて言う人もいる。
この関係はまだ始まったばかりだけど、私も光毅さんに少しずつ感化されてきたのかもしれない。
「……依都。今夜は寝かせないからな」
あからさまな宣言をされて、瞬時に顔が熱くなる。
「楽しみだな、依都」
彼を言い負かそうなん、私にはまだ早かったらしい。
途端に狼狽え始めた私を、光毅さんは楽しそうに笑った。
糸貫庵を守るためならなんだってしてみせると、彼の思惑を知っていながら結婚の話を受け入れた。
未来のない関係。結婚生活が長くなるにつれてそれが苦しくてたまらなかったけれどと、ハンドルを握る彼をこっそりのぞき見る。
彼を好きになってよかった。今ならそう、胸を張って言える。
「なんだ、依都。俺に見惚れているのか?」
あまりにじっと見つめていたせいで、気づいた彼がいたずらな口調でからかう。
「そうだよ。私の旦那様は、本当に素敵な人だなって」
いつもの私なら、あたふたして狼狽していただろう。
でも今は、熱くて甘い弟さんカップルにあてられたのか、自分の気持ちを素直に伝えたくなった。
「なっ」
私が積極的に出るとは思っていなかったようで、驚いた彼は口もとを片手で覆った。その耳もとが赤く染まって見えるのは、絶対に気のせいじゃない。
彼の心を揺さぶれたことに気をよくして、さらに続ける。
「大好き、光毅さん」
長年一緒に過ごしていると、夫婦は似てくるなんて言う人もいる。
この関係はまだ始まったばかりだけど、私も光毅さんに少しずつ感化されてきたのかもしれない。
「……依都。今夜は寝かせないからな」
あからさまな宣言をされて、瞬時に顔が熱くなる。
「楽しみだな、依都」
彼を言い負かそうなん、私にはまだ早かったらしい。
途端に狼狽え始めた私を、光毅さんは楽しそうに笑った。