聖女天使を苦しめた国に、天罰を

幼き日の会話(クロディオ)


「僕は聖女天使が、安心して暮らせる国を作りたいんだ!」

 ルユメール王国の王太子、フラティウスの宣言を耳にしたパロニード辺境伯の息子、クロディオは――満面の笑みを浮かべる親友を無表情で見つめていた。

(こいつの頭の中には、聖女天使しかいないのか……)

 物腰柔らかで心優しい王太子と、無口で無愛想な辺境伯令息。
 2人の組み合わせを目にした人々は、誰もが距離を取る。

(四六時中引く手あまたなこいつにも、たまには休息が必要なんだろうが……)

 他人に邪魔されない環境で好きなだけ話を聞いてもらえると、学習されては堪らない。

 ――だからこそ。
 彼はいつだって王太子が喜々としてその話題を口にするたび、フラティウスを睨みつけていた。

「今、僕には無理だって思っただろう? 酷いなぁ。大きくなったら、立派な王になってみせるよ。だから、クロディオ。ずっと一番近くで、見守ってほしい」

 王太子からそう望まれたクロディオは、否定も肯定もせずに黙り込む。

(この国の暗部を知らない殿下は、毎日楽しそうだ……)

 自分はフラティウスが羨ましくて、堪らなかった。
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