聖女天使を苦しめた国に、天罰を
(母さんも、言っていたもの。セロンさえいなければ、あの人の心を手に入れられたのにって……!)
バズドント伯爵が深く愛した妻の、忘れ形見。
異母姉が聖女天使として産まれたからこそ、深い悲しみに包まれた彼は跡取りを作り、心の拠り所にしようと試みた。
セロンが普通の人間であれば、ルイザの母親は再婚して爵位を得られなかった。
そういう意味では、彼女は自分に感謝するべきだが――。
(これとそれとは、話が別よ! せっかく、婚約者になれたんだから! このまま王太子妃まで、なんのトラブルまで進んでいけると思ったのに……!)
フラティウスが俯いてこちらの表情を確認できないのをいいことに、ルイザは悔しそうに歯ぎしりをしながら、聖女天使に憎悪を滲ませた。
(このままで、終わるわけにはいかないわ……!)
少女は誰からも羨望の眼差しを向けられるほど美しく可憐な聖女天使の仮面を被り直すと、婚約者の腕に絡みつく。
「野良天使なんか、見ないで! あたしがいるでしょ? ねっ?」
「ああ……」
明らかに自身へ興味を失っているとしか思えないフラティウスの姿など見て見ぬふりをしたルイザは――束の間の幸せを享受した。
バズドント伯爵が深く愛した妻の、忘れ形見。
異母姉が聖女天使として産まれたからこそ、深い悲しみに包まれた彼は跡取りを作り、心の拠り所にしようと試みた。
セロンが普通の人間であれば、ルイザの母親は再婚して爵位を得られなかった。
そういう意味では、彼女は自分に感謝するべきだが――。
(これとそれとは、話が別よ! せっかく、婚約者になれたんだから! このまま王太子妃まで、なんのトラブルまで進んでいけると思ったのに……!)
フラティウスが俯いてこちらの表情を確認できないのをいいことに、ルイザは悔しそうに歯ぎしりをしながら、聖女天使に憎悪を滲ませた。
(このままで、終わるわけにはいかないわ……!)
少女は誰からも羨望の眼差しを向けられるほど美しく可憐な聖女天使の仮面を被り直すと、婚約者の腕に絡みつく。
「野良天使なんか、見ないで! あたしがいるでしょ? ねっ?」
「ああ……」
明らかに自身へ興味を失っているとしか思えないフラティウスの姿など見て見ぬふりをしたルイザは――束の間の幸せを享受した。