ご褒美バニーガール

「あ……うん。今日、成田に着いた。桜木。あの……これを聞かずに済ませるのは、無理だから聞くけど。それって、バニーガール……だよな？」

　三鷹くんがソファに座るように手で指示したので、私はそれに従い、机の上に持っていたクラッカーを置いた。

「……うん」

　そうなのだ。私は付き合っている小池くんと大喧嘩をして、そんな彼と仲直りするには男性の好きそうなコスプレでサプライズをすれば良いとネットの質問コーナーで回答してもらい、それを実行していた。

「いや……うん。何があったの？」

「この前に、喧嘩して……その、仲直りしたくて……この格好で部屋で待ってたんだけど、女の人と入って来て……」

　さっきの衝撃的な出来事を伝えるとするならば、ここで使うべき言葉はそれだけだ。けれど、自分自身の出来事だとすると、本当に驚いたし……傷ついた。

「そうなんだ。鉢合わせしたんだ。俺は驚かないけど。小池は女癖悪いって同じ大学のやつも言ってたし、キャバ通いは有名だし。クズだって、聞いてなかった？」

「……けど、そういうことを社内で言う人の方が、気を付けないといけないって……」