癒やしの小児科医と秘密の契約
8.ご褒美タイム
ガラガラと処置カートを押し、「千奈ちゃーん」とカーテンを開ける。ひらひらレースがあちこちに散りばめられたお部屋は、千奈ちゃんの推しである『魔女戦士ピュアリン』のモチーフ。何を隠そう私もピュアリンが大好きで、千奈ちゃんとはピュアリン仲間としていつも情報交換をしている。
「ここちゃん、先週の見た?」
「見た見た! 新しい衣装と変身ポーズめっちゃ可愛かったよー」
「あのヒラヒラのドレス、パジャマで出してくれないかなー?」
「絶対可愛いやつ。私もほしい」
「だよね。売ってるの見たら教えてね」
「わかった。チェックしとくね」
「ねえねえここちゃん、ちょっと新しい決めゼリフやってみてー」
「えーっと、こんな感じだっけ? あなたのハートをピュアピュアにしちゃうわよ!」
投げキッス付きのピュアリンの決めゼリフ。ちょうど入ってきた人物と目が合って……。
「あ……」
「ぷっ、何してるの」
「あ、いや、これは……」
「佐々木せんせー。ここちゃんピュアリンのガチオタだから」
しどろもどろなっているところ千奈ちゃんにガチオタだと暴露され、一緒に入ってきた看護師長に「川島さん」と、とんでもなく冷ややかな顔をされる。
「す、すみませ……」
「あー、ピュアピュアにされた〜」
佐々木先生が胸を押さえながらコテッと首を傾げるので、千奈ちゃんが「ギャハハ」と大爆笑し、看護師長は陰に隠れながら肩を震わせる。
「ここちゃん、もっかい。もう1回やって」
「え、ええ〜」
期待に満ちあふれた千奈ちゃんの眼差し。
構わないよという佐々木先生の眼差し。
やるならやりなさいよという看護師長の眼差し。
よくわからない期待に包まれ、私は顔を真っ赤にしながら「あなたのハートをピュアピュアにしちゃうわよ!」と、ピュアリンのセリフを叫んだのだった。
「ここちゃん、先週の見た?」
「見た見た! 新しい衣装と変身ポーズめっちゃ可愛かったよー」
「あのヒラヒラのドレス、パジャマで出してくれないかなー?」
「絶対可愛いやつ。私もほしい」
「だよね。売ってるの見たら教えてね」
「わかった。チェックしとくね」
「ねえねえここちゃん、ちょっと新しい決めゼリフやってみてー」
「えーっと、こんな感じだっけ? あなたのハートをピュアピュアにしちゃうわよ!」
投げキッス付きのピュアリンの決めゼリフ。ちょうど入ってきた人物と目が合って……。
「あ……」
「ぷっ、何してるの」
「あ、いや、これは……」
「佐々木せんせー。ここちゃんピュアリンのガチオタだから」
しどろもどろなっているところ千奈ちゃんにガチオタだと暴露され、一緒に入ってきた看護師長に「川島さん」と、とんでもなく冷ややかな顔をされる。
「す、すみませ……」
「あー、ピュアピュアにされた〜」
佐々木先生が胸を押さえながらコテッと首を傾げるので、千奈ちゃんが「ギャハハ」と大爆笑し、看護師長は陰に隠れながら肩を震わせる。
「ここちゃん、もっかい。もう1回やって」
「え、ええ〜」
期待に満ちあふれた千奈ちゃんの眼差し。
構わないよという佐々木先生の眼差し。
やるならやりなさいよという看護師長の眼差し。
よくわからない期待に包まれ、私は顔を真っ赤にしながら「あなたのハートをピュアピュアにしちゃうわよ!」と、ピュアリンのセリフを叫んだのだった。