100日後、クラスの王子に告白されるらしい

9月28日、日曜日

 夜、やり忘れてた宿題を終わらせたところでスマホが震えた。

 一ノ瀬の名前と


『あと72日!』


 と表示されている。

 無視して歯を磨きに行った。

 戻ってきたら、また通知が来ている。


『文化祭、一緒に回ろうよ』


「やだよ。結と約束してるし」


『ちょっとでいいから!』


 ていうか一ノ瀬は受付じゃん。

 受付にいなよ、って思うけど休憩くらいある。

 小道具担当の私はお化け屋敷の看板を持ってウロウロして、お客さんを集めるのが仕事。それ以外は特にないから、別に一ノ瀬と回る時間くらいあるけど……。

 でも、ぜったいやっかまれるじゃん……やだな……。


『頼むよ、1時間とかでいいから! 3組のアイス奢るし』


 アイスの話を持ち出すのは卑怯だと思う。

 まあ、ちょっとくらいなら……でもなあ……。


『3年生のカレーもつける』


 それ、1時間で済むかなあ?


「……わかった。ちょっとだけね」


『やった。楽しみ。今までで1番楽しみ』


 いや、文化祭まだ2回目でしょ。

 適当にスタンプを送っておく。

 まあ……喜ばれて悪い気はしないんだけどさ。

 ……文化祭デートかあ。そんな陽キャのイベント、私がやるとは思わなかった。
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