100日後、クラスの王子に告白されるらしい

10月08日、水曜日

 国語の授業で図書室に行った。
 詩を書く授業で、参考になりそうな詩集を探しに来た。


「柊って普段本読む?」


 適当に選んでめくっていたら、一ノ瀬が隣にやってきた。


「流行りの小説くらいかな」

「どんなの?」

「東野圭吾とか、湊かなえとか、ミステリーが多いかも」

「……俺、全然読まなくてわかんないな。図書室にもある?」

「あると思うよ」


 小説の棚に向かうと、有名どころはだいたい揃っている。
 私も、今は売ってないような小説をたまに借りにくる。


「えっと、この辺が読みやすいかも。そもそも一ノ瀬、好きな本とかある?」

「ないよ。ぜんぜん読まないから」


 そう言いながらも、私が勧めた本を一ノ瀬は手に取ったり。


「じゃあ別に読まなくても……」

「読む。柊が好きなもの、知りたいから。あと62日の間に、俺のこと好きになってほしいけど、俺も柊のこと、もっと知りたいんだ」


 一ノ瀬は本を持ってカウンターに行ってしまった。
 意味、わかんない。
 なんで、そんなに私のこと……。
 そんなに好かれるような、かわいい女の子なんかじゃないのに。
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