100日後、クラスの王子に告白されるらしい

10月15日、水曜日

 3、4時間目の家庭科は調理実習!

 ごはんを炊くし、おかずになるものを作るから、お弁当はなし。こっそりレトルトの味噌汁も持ってきた。


「柊が作ったやつ、俺にも食わせて」


「いや、同じ班だから。一ノ瀬も作るから」


「俺さ、家に帰ったら柊が『おかえり』って言ってくれて、温かいごはんが出てきたら嬉しいな。そうなったら一生養う。あと55日!」


「昭和か?」


 他の子たちとも手分けして料理する。

 一ノ瀬が不器用なのはわかってるから、ごはんを炊いてもらったり、野菜を洗わせたり。

 包丁を持つ手が震えていて、見てるこっちがドキドキする。悪い意味で。


「できた! 見ろよ柊、俺が炊いたごはん! 一番に柊に盛ってやる」


「はいはい」


 他のおかずやサラダ、味噌汁も並べて、ちゃんとしたごはんみたい。


「いただきます。……うん、おいしい」


「うまっ!? んー、作ってもらうのもいいけど、作って美味しいって言われるのもアリだな……」


 一ノ瀬は勝手なことを言いながらもぐもぐ食べている。

 今まで気にしてなかったけど、口、大きいなあ。


「なあなあ、今度、柊に弁当作ってきてもいい?」


「……練習して、ちゃんとできるようになったら教えて?」


 そうしないと、たぶん大変なことになると思う。作ったあとの台所が。
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