100日後、クラスの王子に告白されるらしい

10月24日、金曜日

 今日は社会科見学!

 空港で集合して、班ごとに決めたルートを回って、最後にチェックポイントで先生と合流すれば終わり。

 結と双葉くんが科学博物館のゲームコラボで盛り上がっちゃって、時間ギリギリだったけど、なんとか見学は終わった。


「榎本! 柊借りるな」

「どうぞどうぞ」

「ちょ、私の意思は!?」

「行こうぜ、柊! あと46日だ」


 一ノ瀬は満面の笑みで私の制服の袖を引っ張る。

 結も双葉くんと科学博物館に戻っていった。


「柊、カンガルーいた!」

「あれワラビーだよ」

「……違うのか?」

「みたらし団子と苺大福くらい違う」

「俺にはわかんないけど、柊にはちゃんと違って見えるんだな」


 一ノ瀬は笑いながらマップを広げる。

 カンガルーは向かい側にいた。


「わあ、かわいいなあ」

「たしかにワラビーよりデカいな……」

「あっ、赤ちゃんいるよ!!」

「……赤ん坊、ワラビーよりデカイ」


 一通り見て、ライオンカレー(真ん中のごはんにライオンの顔が描いてあって、周りのカレーがたてがみみたいになってる)も食べた。


「お土産買ってこうぜ、あ、これ。このカンガルーのでっかいぬいぐるみ買うから、柊も俺にお土産買って」

「それ持って帰るの恥ずかしいなあ。いいけどさあ。じゃあこれ、ワラビー」

「いいじゃん。リコって名前つけて大事にする」

「それはちょっと恥ずかしいかも」

「柊もこいつのこと、ソウって呼んでね」


 渡されたカンガルーのぬいぐるみはふかふかで、名前はともかく、抱いて寝るには良さそうだ。
< 54 / 96 >

この作品をシェア

pagetop