この恋、予定外すぎて困ってます
その目が、すぐに潤んでいくのが分かった。
泣きそうになってる涼ちゃんの顔を見て、胸がギュッて締めつけられた。
あー、違う。
こんな顔、させたかったんじゃない。
「…ごめん。そういうことだから。キスも、勝手にごめん」
言葉を絞り出すようにして、俺は涼ちゃんの部屋を出た。
ドアを閉める音が、やけに大きく響く。
階段を降りて、リビングへ向かう。
「もうご飯できるよー、どこ行くの?」
洋子さんの声が、背中越しに届いた。
でも、振り返ることもせずに言い放った。
「ちょっと外行ってくる」
冷たく言って、何も持たずに家を出た。
夜の空気が、肌に刺さるくらい冷たく感じる。
コンビニでも行って、頭冷やそう。
何してんだよ、俺。
気持ちなんて、言うつもりなかった。
涼ちゃんに怒られて、嫌われて、終わればよかったのに。