この恋、予定外すぎて困ってます
「涼、さっきからずっと箸止まってるけど」
先輩の声が、目の前から聞こえる。
顔を上げると、いつも通りにご飯を食べてる先輩。
…ほんとに、いつも通りすぎて困る。
「涼ちゃん、食べないなら貰っていい?」
「え?あ、はい」
適当に返事したら、コロッケがスッと持っていかれた。
なんか、私の気持ちも一緒に持ってかれた気がする。
お風呂をあがると、リビングには先輩だけ。
テレビの音が小さく流れてて、部屋は静か。
「えっと…お母さんたちは」
「もう2階行ったよー」
その言葉に、心臓が跳ねた。
夕方のことが頭をよぎる。
あのキス。あの言葉。
緊張する。
でも、もう気持ちを隠さなくてもいい。
だから、私は先輩の隣に座った。
ほんの少しだけ、距離を詰めて。
くっつきたいって思って。
両想いになれたから、もういいよね。