この恋、予定外すぎて困ってます



「なんでもありませんから…出てってください」



涙を隠すように、顔を伏せた。
見られたくない。 弱いところなんて、絶対に。

でも、先輩はその場を離れなかった。



「誰かにやられた?…俺のせい?」



…そうだ。
元はと言えば、先輩がたくさんの女の子に手を出すから。 誰にでも優しくして、誰にでも笑いかけて。
だから、私が狙われた。 だから、こんなことになった。


…なのに。



「顔も見たくない。出てって」



私は、震える声でそう言った。

先輩は、何も言わなかった。
ただ、静かに部屋を出ていった。


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