この恋、予定外すぎて困ってます
いやいやいやいや。
それ、どうなの。
しかも同じ学校って。
廊下とか階段とか、普通にすれ違う可能性あるじゃん。
…気まずすぎる。
本当は4月から同居する予定だったらしいけど、その女の子が高校生活に慣れるまで待つことにしたって。
父さんのことは、ずっと好きだ。
母さんがいなくなってから、 不器用ながらも一生懸命俺を育ててくれた。
料理は下手だし、洗濯物はたまに色移りしてるけど。
だから、父さんがもう一度結婚したいと思える人に出会えたことは素直に嬉しい。
「もう、父さんの下手な料理を食べなくて済むぞ~」
父さんは、笑いながらそう言った。
目の前には、ちょっと焦げてて、ケチャップの形もいびつなオムライス。
でも、俺は――
ずっとこのご飯でも良かった。
父さんの料理は、 見た目も味も完璧じゃない。
でも、仕事で疲れて帰ってきたあとに、一生懸命作ってくれたのが分かるから。
その不器用さが、 なんだかあったかくて。
母さんがいなくなってから、父さんはずっと一人で頑張ってきた。
俺のために、毎日ご飯を作ってくれて、洗濯してくれて、学校のことも気にしてくれて。
だから、 “もう食べなくて済む”って言葉が、 ちょっとだけ寂しかった。